今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
そしていつのまにか陽奈ちゃんは颯くんにどこかへ連行されていて……。


「く、久遠くっ……」

「なにしにきたんだよ蘭」

「うっせぇ天音を離せ」

「いい加減消すぞ」


ひっ……!?


恐ろしい殺気を背後から感じ取る。

だ、だめだっ……ここにいたら、死んじゃうっ……!!


身体全身で久遠くんのことを拒んでいる。


「く、久遠くん、こっち向いて……?」

「ん〜?」


久遠くんは可愛い声を出しながら私の身体の向きを変えた。


「わわっ……」

「っ、どうしたの?」

「ど、どうかっ……どうかお命だけはお助けくださいぃ……」


久遠くんの方に両手を置いて、私は必死に命乞いをする。


こ、これしないっ……もうこれしかないっ……。

「っ……ぷっ!……」

「へっ?」

「……」


蘭くんは笑い始め、久遠くんは無言に私を見つめる。

「……?」

「可愛いなぁ」


今度は私の頭をなでなでしながら、次にはぎゅってされる。

……久遠くんは、恥ずかしくないのかなぁ……。


「……命乞いっ……ぷっ……」

「っ……ゆ、許してくれる?」

「やだね。蘭は消すよ」

「や、だ!」


私は隙を見て久遠くんからバッと離れた。

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