今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
「あー待ってよー」

「す、ストップ!そこから動いたらいけません!」

「んーわかった」


大人しくしている久遠くんを見て、私はしゅたたー!と3年生の教室に向かった。


ガラガラ

「失礼します!!碧先輩!!!!」

「おー!あまっちどした?」

「たすけてーください!!」


碧先輩、長谷先輩、瀬戸口先輩は私と親しくしてくれている、学園の三大美女のグループだ。


よく相談にも乗ってくれるし可愛がってもらってる、大好きな先輩。

……そして、あまっちとは先輩たちに勝手につけられたあだ名だ。


「うっひょ〜どーせ上杉のことでしょ?」

「ハセさすがー」


クスクスと笑う3人。

「ってかお菓子食う?」

「って、てかって!聞いてくださいよっ……!!」

「……天音ちゃん?どうしたの?」


横から伯斗先輩が私に話しかけてきてくれた。

そういえば、碧先輩たちと伯斗先輩って、クラスおんなじなんだ……!!


「く、久遠くんがっ……」

「……どうかしたの!?」

「えとっ……は、離してくれなくて——」


……なんだろう。

嫌な予感がして、背中が凍りついてる気がする。


「なぁにやってるのかなぁ?」

「げっ……上杉じゃん?」

「嘘、顔怖っ!」

「みんな!あまっちを守るのよ!!」


先輩たちはそう言ってくれているけど……もう遅いらしく……。

私は背中の後ろで両腕を拘束されてしまっていた。
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