今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
「……おいなにやってんだよ久遠」

「あっ、東方城先輩、聞きたいことがあるんですけど」

「……その前に天音ちゃんを——」

「俺の天音の婚約指輪、どこにしたんスカ?」


……へ?

凍りついたような空気が3年生の教室を包み込んだ。


「……関係ないだろ。天音ちゃんは僕と婚約するんだからな」

「へっ……?」


伯斗先輩と、婚約……?


「……どういうことかな天音ちゃん?」


ドス黒いオーラを放ちながら私にそう言う久遠くん。


「ち、ちがうのっ……!」

「なにがちがうの?」

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