今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
「こ、婚約なんてっ……」


っていうか、そもそも高校生で婚約って普通じゃないよねっ……!?


「おい上杉!!あまっちに触るんじゃないわ———」

「先輩の彼氏浮気してますよ」

「え、は?」


ふぁ……?


「先輩の彼氏、B組の——」

「佐山ね……アイツ、ユルサナイわ!!!」


長谷先輩は勢いよく教室を出て行った。


「はわっ……久遠、しゃ、しゃま……どうかお命だけわぁぁっ……」

「あと、碧先輩と瀬戸口先輩の彼氏、2人で二股してますよ?」


クスクスと面白そうにそう笑う久遠くん。


な!?なんでそんなこと普通に言えるの?しかも、笑ってなんてっ……!


「はぁ!?おい瓜生!!!(ウリュウ)」

「あ?んだよ!しゃーねぇだろお前ら」


教室では喧嘩が勃発してきて、私は久遠くんに抱っこされて、廊下に出されてしまった。


「く、久遠くんはなんで先輩たちのこと知ってるの?!」

「んーなんでだろうね」


ううっ……教えてくれなそう……。


「あ、あのっ……そ、それでねっ……」

「うんうん?どうしたの?」


な、なにか話をして、伯斗先輩のことからそらさないと……。

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