今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
「そっかそっか、あ、夜ご飯あるけど、先風呂入る?」

「うーん、そうする」

「わかった!」


兄さんはメガネ系男子で、とっても美形で、おっとりしている優しい性格だ。

だから、“家族”の中で唯一信じられる人。



それから風呂に入る支度をして、無駄に広い風呂に浸かる。


「はぁ……」


……あの、日向天音の笑顔が頭から離れない……。


……天使って言葉が本当にお似合いだよな。



——約1ヶ月後


「なぁなぁ理人、今日宝生中で文化祭やってるらしいぜー行ってみねぇ?」

「宝生……?」


……それって……あの日向天音がいる……。


「行く」

「お、珍しいね」

「さっさと行くぞ」


俺はクラスのヤツら、男女を連れて宝生中に向かった。



中学につき、一目散に2年生の教室に向かう。


「……い、いらっしゃいませ……!!」

「……」

「あっ……こ、こないだのっ……!!」


やっと見つけた日向天音の姿、そしていまこの子は……。


「メイ、ド……?」

「はい!」


メイドの格好をしていた。

それもとても照れているようで、そのほんのり赤く染まる頬が愛らしさを引き立てている。


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