今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
「……えっと……何名様ですか?」

「あ、6人です……」

「はい!では先にご案内いたしますね!」


にこにこと微笑みながら俺たちを先に案内した日向天音。


「では、ごゆっくりどうぞ!」

「あっ……あの」

「?はい?」


思わず俺が日向天音、いや、天使さまを呼び止めてしまった。


「どうされましたか?」

「……えっと……連絡先、交換しませんか?!」


まさか自分から女にこんなことを言うとは思っていなかった。


「あっ……えっと……」

「すみませーん、うちの天使さまは生憎彼氏持ちなんですよぉ〜」

「げ、陽奈」


なんで陽奈がここに……。


「……あっ……私は別に彼氏なんていな——」
 
「いいのいいの!どーせ『アイツ』が奪いにくるんだから」

「?」


なにを言ってるのかよくわからないけど……。


「ほら、さっさと注文しなさい。天音は案内して!」

「わ、わかりました!」



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