今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
「……っていうか、嬉しかった。好きな理由」

「っ……こ、こっちこそ、嬉しかったよ!」

 
こうやってちゃんとお礼を言ってくれる忠犬らしいというか、愛らしさに胸を強く打たれる……。


私、いい加減心臓が死んじゃうと思うんだっ……!


……その後、私たちは教室につき、自分の席に座る。


「……天音、おいで」

「あっ……う、うん……」



この学園では、教室移動した場合は好きな席に座っていいことになっている。


だから、私は久遠くんと隣、になっちゃった……。


ちょこんと久遠くんの隣に座り、ノートを広げた。


「……天音のそのシャーペン可愛いね。うさぎさん?」

「!そ、そうなのっ……!これね、前に陽奈ちゃんにもらって……」

「うんうん、そっか。ふふっ」


久遠くんは授業をする気はさらさらないのか、机にうつ伏せながら私の方を見ている。


授業、受けないのかな……?


「俺は授業受けないよ」

「へっ……!?」


な、なんでわかったんだろう……!?


「天音ちゃんが思うことぐらいわかるよ」


うっ……か、可愛い……にこにこしてる……。


「いま可愛いと思ったでしょ?えへへ、僕のこと?」

「っぅ……だ、だめだよ、あんまり可愛いの……」


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