今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
それは、伯斗先輩と蘭くんのこと。


私に、好きだって伝えてくれたふたりには、ちゃんと久遠くんのことを話して、お断りしたかったんだけど……。


ふたりとも、音信不通なんだよね、この一週間……。


私、なにか悪いことしちゃったかな……?


「……天音はなんにも悪くないからね」

「っ!う、うんっ……あ、ありがとう、……」


相変わらず怖いぐらい私の心読んでるよ久遠くんっ……!!


……私なりに、推測はしてみた。


ひとつ、家柄的に忙しくて登校できていない。


ふたつ、私のせい。


みっつ、……この天使スマイルの久遠くんがなにか裏出している……。


「——天音さん!聞いてますか!!」

「ひぇっ!?あ!す、すみません!!」


い、いつのまにか先生に呼ばれてたっ……!?


「ボーッとしてなに考えてたの?」

「え、えっと……久遠くん、の、こと……?」


なんだかそう言わないと、消されちゃう気がするっ……。


「ちがうよね」

「えっ……?」

「東方城センパイと神木のこと考えてたでしょ」

「ふぇへっ……!?」


ほ、本当に怖すぎるっ……!!


「じゃ、じゃあ逆に、どうして私がふたりのことを考えたらだめなの?」
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