今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。

「ううん。でも、ここだとだめだから放課後でもいい？」

「あ、うん！」


なぜだかわからないけれど嬉しそうにしている天音。


「……天音」

「あっ、久遠くんっ！どうしたの？」

「仁となに話してるの？」

「え、えっと……」


殺気を感じるとは思ってたけど、やっぱり久遠か。


「久遠くん、だい、すきっ……」

「っ！！！」


ものすごい衝撃を受けたかのように久遠は倒れ、颯に支えられていた。


「わかる、わかるよ久遠……ずるいよね、ようちゃんも天音ちゃんも、不意打ちって……」

「尊死しそう……」

「ううっ、ごめんね仁くん変なところ見せてっ……あ、こ、これは陽奈ちゃんに教わって」


……


「ふふっ、わかってるよ」

「よ、よかったっ……」


よほど恥ずかしかったのか、目元をジーンとさせている天音。


「……あっ、じ、仁くん、あの、よかったら連絡先交換しないかなっ……？」

「えっ……あ、する！」


まさか、天音から言ってもらえるとは思ってなかった……。


「えへへ、ありがとうっ……」

「っ……」


女嫌いの俺が、こんなになるなんて……。


「天音は、本当に久遠のこと好きなの？」