今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。

それから、ゆっくりとジェットコースターが走り出した。


「ひぃっ……こ、怖いよ高いよ颯ぇ……!!」


ぎゅっと俺の手を弱い力で精一杯握るようちゃん。


「大丈夫大丈夫。っていうかようちゃんが可愛すぎて怖いんだけど……」


ようちゃんは高さが怖くて、俺はようちゃんの可愛さが怖い。


はぁ……怯えてるようちゃん可愛——



「きゃー!!!?!?!!」


急に下り坂になったジェットコースターにようちゃんが悲鳴を上げた。


「わぁぁー」


軽くリアクションを取るけど、ジェットコースターにはもう慣れた。


理由は、小さい頃にようちゃんとジェットコースターをよく乗っていて、最初はビビっていたけれどようちゃんのビビる顔が可愛くて、慣れてしまったのだった。


けれどようちゃんは小学校6年生になると急にジェットコースターが高くてビビるようになったと言うわけだ。


「ビビるようちゃんかーわいーーー!!!!」


ジェットコースターが回る瞬間にそう言い、ストレス発散になった。


ようちゃんは……うるうるしてる……可愛いな。


「ようちゃん、大丈夫?」

「らいじょうぶらない……」

「ふふっ、そっか」
< 242 / 257 >

この作品をシェア

pagetop