今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
「せ、せっかくだから、自分のこと抱っこしてみようと思って……きて欲しいんだけど……いいかな?」

「ふふっ、いいよ」


や、やっぱり自分の身体なのに雰囲気がイケメンだ……!!


「はい、抱っこして」

「わ、わかった……!」


手を伸ばしてきた久遠くんをできるだけ丁寧に抱っこをした。


「わっ……わ、私ふにふに……!?」

「天音は柔らかいね」

「な、なんだろう……」


思ってたより柔らかい……脂肪のせいかな……!?


「女の子だからでしょ?っていうか……なんか面白いね。抱っこされるの」


そ、そっか、久遠くんはいつもしてくれてる側だもんね……!!


「天音、軽いでしょ?」

「う、うーん……。抱っこはしやすかった……!けど、それは久遠くんがきっと力持ちだからだよ!これだけでも重たいし……」


もう久遠くんに抱っこしてもらえない……!


「重くないよ。それは気のせいだって。思い込み」

「そ、そうかなぁ……?でも……そうだといいな」


本当に、本当にそうだといいな……。


「……なんか天音に抱っこされてるのは嬉しいけど、自分の身体に抱っこされてると思うと気色悪いね」

「それはいいすぎな気もするけど……たしかに、私も久遠くんを抱っこできることは嬉しいけど、身体は自分だから……なんだか複雑……」
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