今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
照れ臭そうにそういう天音……。


「あーもう本当可愛い」


閉じ込めてもいいよな?


こんな可愛さ、俺以外に見る価値のあるヤツなんかいない。


きっと俺が金持ちに生まれて、容姿にも恵まれているのは天音といるためだったんだ。

改めて生んでくれた親たちに感謝を心に決めた。


「……今日は休もう」

「で、でも……」

「旦那様の言うことが聞けないの?」

「ううっ……そんな言い方、ずるよ……!!」


この権力も、天音を支配するためだ。


「……じゃあせっかく着替えたけど、部屋着に着替えよっか」

「ほ、本当に行かないつもりなの?」

「当たり前だよ」


特に今日は大切なことがあったわけでもないし、極力天音に男と合わせたくない。



……そういえば、アイツら学園の王子たちは、いまは家業を継いでいるらしい。


そして、まだ天音のことを狙っている……。


どれだけ社会的に抹殺しようとしても、一応財閥なため潰すに潰せず……。


挙句の果てに、天音に貢ぎ物を持ってきたり、一緒に出かけようと誘ったり。


高校生の時なんか、友情を深めるとか騙して純粋無垢な天音をデートに連れて行こうとしたり。
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