今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
そして……兄弟たちも、告白をしたわけではないけれど、天音のことを、狙っている様子だ。


改めて、天音は俺がいないとだめだと思う。


俺も天音がいないとだめだし、俺たちはこれからも支え合って生きていく。


ふたりでそう決めている。


「じゃあ、今日は久遠くんにいっぱいぎゅーしちゃうからね!」

「……なにそれ……ご褒美でしかないんだけど……」


それから俺たちは着替えててきとーなテレビをつけながら、天音にお菓子を貢いでいた。


「他に食べたいものはない?」

「う、うん……!このマリトッツォ、すごくおいしい……!!あ、あと久遠くん……!」

「ふふっ、なぁに?」


可愛い……鼻先にクリームついてる。


「そんなに甘やかされて、色々な食べ物を食べさせられてると、私太っちゃうんですけどっ……!!」

「女の子はもちもちの方がいいんだよ」

「そんなの人それぞれだよ!!」


たしかにそうかもしれないけど……。


「天音の幸せそうな顔が見れるなら、太っててもなんでも俺は好きだし嬉しいよ」

「っ……そうやってすぐイケメン台詞をっ……!!」


頬を愛らしく朱色に染めている天音。


あー……可愛い。


「天音が可愛いから」


そして俺は天音の鼻先についたクリームを舐めた。
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