今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
「……で、それに巻き込まれたと」

「その通りです!」

「……ほら、準備すんぞ、手伝ってやるから」

「!ありがとう!」

「ちょ、抜け駆けは禁止だぞ!!」

蘭くんは怒り気味にそう言う。

「俺にもなんか手伝わせろ」

「あっ……!じゃあ、みんなの面倒見ててくれるかな?」

「おう!」

ふふっ、蘭くんは不良のくせにって言ったら失礼だけど、やっぱりいい人だな。

面倒見が良さそうだし、兄弟でもいるのかな?

「天音、皿ここにある?」

「あ、うん!プラスチックのお皿がいっぱいあるからそれ全部取ってもらえるかな?」

「わかった」

従兄弟たち専用のお皿だ。

……っていうかっ……今更ですけど……。


ここにいる人たち顔面偏差値高すぎんかっ……!?

従兄弟たちの顔面偏差値が高すぎることは重々承知だった。

けど、そこに学園の王子さままで入られると、私の居心地が悪くなる。

「あっ……2人のケーキ、用意できてなくてごめんね……!」

「別に、こっちこそ急に押しかけてごめんな」

「へっ……!?あ、全然……!!」

久遠くんなら大歓迎なんですけどっ……!!

「あっそれでね、昨日私が暇で作ったケーキが———」

「お前、暇でケーキ作るのか?」

「へっ?あ、う、うん」

お菓子作りがとっても好きで、暇な時は材料さえあればお菓子を作っている。

「ふっ、そうか。で、なんだ?」

……!笑ってくれたっ……!!

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