今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
「わぁー!!久遠くんばっかずるい!!僕もてんちゃんとぎゅーするのー!」

冬樹くんのその言葉で、従兄弟たちがゾロゾロとみんな私に抱きついてきた。

「わわっ……つ、潰れちゃうよっ……!!」

「……俺も!!」

今度は後ろから蘭くんにも抱きつかれてしまった。

「えへへっ……なんだか、苦しいのに幸せ」

こんな従兄弟と好きな人、友達に恵まれて、よかったな。

「……スースー」

「……?」

横から、規則正しい呼吸音が聞こえる。

「く、久遠くん……?」

ね、寝てる……?

「てんちゃん久遠くん寝ちゃってる」

楓くんがそう言う。

「えええっ……」

このっ……体勢で……?!

つ、疲れちゃったのかな……?

そう言ってたし……。

「ら、蘭くん、久遠くんをソファに寝転がせるの手伝ってくれる?あと、理人くんもできれば……」

「ふふっ、いいよ」

「!ありがとう!」

理人くんは、思ってたより優しい人なのかも。

その後、私たちは無事久遠くんをソファに寝転がせた。

が……。

ぎゅううっ……!!

「ふぁっ……く、くるちいっ……!!」

寝転がせたと共に、私は久遠くんの腕の中に閉じ込められてしまったのだ。

しかも、久遠くんは仰向けに寝転がり、私は
久遠くんの上にうつ伏せている状態だ。

「久遠くんやめて……!!」

苦しいし、心臓が死んじゃうよ……!!!



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