今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。

「す、すみません……！やっぱり、学園の王子さまが好きなんて、おかしいですよねっ……！」


リア恋したなんて、馬鹿みたいだ。


「いや、そう言うことじゃないよ」

「は、はいっ……」


い、いやでも、そういうことだよね……？

絶対バカだって思われてるっ……。


「あっ、ごめん、先行くね」

「あ、はい！」


伯斗先輩、仕事で忙しいのかな？

生徒会、大変そうだもんな……。

今度また、手伝いに行こうかな。


「おーいなくなったぞ」

「よし、行け！」

「えっ……？」


変な掛け声と共に、私は不良らしき人たちに囲まれる。


「な、なんですかっ……？」

「身の安全が欲しければ大人しくしておくことだな」

「えええっ……」


んんんっ……？ってか、この人たちどっかで見たことある気が……。

ゴリィッ！！


「ぐはぁっ！？！？」


バタンッ……。

「へ？……」

えげつなないほどの音を立てて身体を殴って私を助けてくれたのは……。


「……おい、なにやってんだよ俺の女に」


えっ……？？

久遠、くんだっ……！！

安心して、足の力が抜けてポスッと地面に座り込む。


「お、おい久遠誤解だって！！」

「るせぇよてめぇらぶっ殺す」

「おい俺ら友達だろ！？！？」


……や、やっぱりですよね。

どこかで見たことあると思ったこの人たち。

それは、たまに久遠くんの周りに群がっている久遠くんの友達らしき人たちだった。


「あ？だちだ？んなの関係ねぇだろ？俺の大事なもんの近くの空気を吸っただけでアウトだ殺す」


く、久遠くん……。なんかめちゃくちゃ怒ってません？


「く、久遠くん……な、なにかの誤解じゃっ……！？」

「……天音……」

「？」


久遠くんはなにかに取り憑かれたかのように私の方へ歩いてきて、私を抱きしめた。


「天音……可愛い愛してる……」

「？……」


な、なにか誤解するようなワードが聞こえた気がするのですが……。


「久遠くん……！」

「っ……！！す、すまない。立てるか？」

「あっ……う、うん……」