今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
微笑ましくてしばらくにこにこしていると、久遠くんの歩くスピードが上がって行く。

頑張ってついて行くけれど、とってもスピードが早い。


「く、久遠くん、待って……!」

「あ……ごめん」

「う、ううん!大丈夫だよ」


そして久遠くんは歩くスピードを遅くしてくれた。


それから……特に会話を交わすことはなかったが、教室まで一緒に行くことができた。

……でも、悲劇はすぐそこにあった。


「久遠くん!!」

「……」


美人で有名な、晴崎柚李(ユズリハ)さんが教室で声を上げる。

もちろん久遠くんはガン無視をしている。


「好きです!!付き合ってください!!」

……!

こ、告白だ……。

でも、なにか不審なことがあった。

それは、柚李さんが私の方をチラチラと見てくることだ。

すると背後から……。


「チッアイツコロス」

「えっ……!?」


陽奈ちゃんのそんな単語が聞こえてきた。

もう、みんな殺す殺すって、言い過ぎだよ!!

……でも、私の方を見てるのは、わざと……?

嫌がらせ、なのかな……?

そういえば、柚李さんは2年生になり編入してきた子だった。


だから、名前は知っていても、仲がよくないというか、話さないと言うか。

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