今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
ちょっとモヤモヤして、下を向いていると……。


「天音ちゃんっ……!」

「……?夢ちゃん……?」


斜め前の席の夢ちゃんが話しかけてきた。


「気にしなくていいんだよ!」

「そうよそうよっ!あんなヤツ、放っておいた方がいい!!」

「上杉くんは天音ちゃん一筋だよ!」

「み、みんなっ……」


クラスの女の子がゾロゾロと私の席へ近寄ってきて、そう慰めてくれた。


「あ、ありがとうっ……」


そうお礼を言うと、みんなはにこにこと微笑んでくれた。

ああっ……優しい友達に恵まれて、本当によかったなぁっ……。


「……無理」


……?

女の子たちの隙間から見える久遠くんと柚李さん。

久遠くんは、こんなことを言っていいのかわからないけど、まるでゴミを見るかのような怖い目でそう言葉を発した。


「っ……もういい!!」


柚李さんは悔しそうにキレ気味に席に戻って行った。

……。

ドキッと心臓が嫌な音を立てる。

別に、告白をする予定があるわけではない。

でも……。

いざ、告白したとして、久遠くんにあんな振られ方、したくないっ……。

怖くて目に涙が浮かぶ。


やっぱり、久遠くんなんかに私は届く存在じゃなかったんだ。


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