今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
……それからその日も特に頭は働かずに授業を受ける。

そして、休み時間にお花が綺麗に咲いている花壇に行こうと校舎裏に行くと、久遠くんが告白をされているところを見た。

もちろん、また久遠くんは怖い目をしてその女の子を振っていた。



さらに次の休み時間にも久遠くんのその姿を見てしまった。


ああ、今日は運が悪すぎる。

どうしてこうなるの……?

そういえば、久遠くんは女嫌いって噂もあったな……。

今日の朝、一緒に登校することはできたけれど……本当は、嫌だったのかもしれないな。

申し訳ない。

謝りたくなったけど……。

会いたく、ないな。

——え?


会いたく、ない……?

いままで、久遠くんにそんなことを思ったことがあったかな……?


いや……ないよね……。


私、ひょっとして久遠くんのこと、嫌になっちゃったのかな……?

……わかんないや。

そんなことを考えてボーッとしていると……。


「お前可愛い子ぶってんじゃねぇぞ!?」


そんな男の子の声が廊下に響いた。

……あ……ここ、一年生の階だ。

間違えちゃった。


「……やめろよっ……!!」


いつもなら、喧嘩はだめだから止めようって思えるのに、いまは感情が出てこないような気がした。

でも、“懐かしい”声がした。


ボーッとしながら喧嘩をしてる子たちに近づいて行く。
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