今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
「……桜……」


可愛いピンク色をした桜。


可愛いお花。


私とは大違いだな。

どうすれば、もっと可愛くなれるんだろう。

髪、やっぱり結んだ方がいいのかな?


いやいや……髪を結ぶとかの次元じゃなくて、目をもっとおっきくする……?

それとも、鼻を高くする……?

唇をぷっくらさせる……?


ううっ……女子力がないからわかんないよっ……。

あとで陽奈ちゃんに聞いてみようっ……。



「……天音さん」

「あっ、月城くん。どうしたの?」

珍しいな。話しかけてくれてとっても嬉しいけど。

「大丈夫?体調、優れないの?」

「えっ……か、顔色悪い?」

「うん、結構辛そう」

「そ、そうかな」


そう言われると……なんだかクラクラする気がするな。

きっと気のせいだけど。


「熱あるよ、保健室行こう?僕、保健委員だから」

「あっ……えっと……大丈夫だよ?」


いまは色々と、考え事があってボーッとしちゃうだけだと思うんだっ……!

そう思ったんだけど……。

もしかして、月城くん、察してくれた……のかな……?

いや、まさか……。


「……先生。日向さんの体調が優れないようなので、保健室に連れて行きます」

「おーお大事にな」


えっ……??

せ、先生……!?軽くないですか……!?

ぜんっぜん体調悪くないですよ!!


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