今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
「そ、そうかなっ……!?」

「ああ」

「えへへっ……嬉しいな」

っ……。可愛———

あれいまなにを思った。

おかしいな。

「あっ……そろそろ帰らなくっちゃ。」

「……じゃあな。きーつけて帰れ」

「は〜い!バイバイ〜!」

にこにこして手を振る天音。

アイツは……少なくとも、もう天使だと思った。



それから、頭の中に焼きついた天音の笑顔。


そして高校2年になり、俺にとっての春がきたと思った。

天音とおんなじクラスになり、勉強を教えてもらうということから距離を縮めて行こうとした。


でも、天音は……。

多分久遠のことが好きだ。


まぁでも仕方ない。

どうして天音が久遠のことが好きなのかは知らねえけど、一度目付けたらぜってぇ逃さねぇ。


そんな執着心だけを胸に俺は天音に近づいて行く。


久しぶりに天音に聞いた、どうしてそんなに優しいのかと言う言葉。

『自分があとで報われるかもだからだよ。あとね!天音の天って字、天使の天だから、天使さんみたいに優しくなれたらなぁって思って』

嬉しかったと裏腹に余計に好きになってびびった。



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