今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
その後日、天音の家に入ることもできた。

俺たちが初めて出会った時に天音の従兄弟たちもいて、ソイツらは俺のことを覚えていてくれた。

それが実は結構嬉しくて、天音の従兄弟たちの面倒を一生懸命見ていたつもりだった。


けど……久遠との仲が良さそうで凹むことも多い。


最近は本当に好きでいいのかすらわからなくなってきた。


「はぁ……」

授業なんてどうでもよくてため息をつきながら天音の方を見る。

可愛いな……。

窓の外みて、なに考えてるんだろ。


でも、さっきから天音の様子がおかしいんだよな。

授業で先生に当てられてもボーッとしていて。

とても優等生の天音とは思えなかった。


なんだか心配だ。

俺が話しかけた時だって様子がおかしかった。

「おっ、蘭クン〜大丈夫?」

「アンタは……颯?」

久遠の親友とかなんとかのヤツだ。

そういえば、コイツ席斜め前だ。

「天音チャンのことで悩んでるの〜?手伝おうか?」

「は……?アンタは久遠の味方じゃねぇのかよ」

いや、からかわれてるだけか。

「いや、俺は久遠の味方っていうか……愛するようちゃんが傷つくのが嫌なだけ」

「ようちゃん……?」

あー、陽奈のことか。

「天音チャンが傷ついたらようちゃんも傷つくからね。僕は天音チャンが幸せになれる人がいいと思ってる」

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