今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
つまりは、陽奈が好きすぎて動いてんだな。

「……それでさ、ここだけの話、久遠は愛が重すぎなんだよ」

「え?」

いや、アンタがいうかよってツッコミたくなった。

「えってなに?まぁどうでもいいんだけど、天音ちゃんは男女問わず好かれてて、無神経に男子との距離が近くなっちゃってたりするじゃん?」

それは本当に言えてると思う。

天音は悪気なく男と距離が近いからな。

「だから……それが原因で久遠が傷ついて、天音ちゃんも傷ついていったらようちゃんが可哀想で可哀想で……」


コイツ、マジで陽奈のことで頭いっぱいじゃねぇかよ。

「まぁもちろんさ、一応、ようちゃんは幼なじみで幼稚園と中高一緒だし、天音チャンとも中高一緒だからさ、ふたりとも大事なんだよ。と・く・に・ようちゃんは!!!!!!!!!」

「わかってるってるせぇな」


久遠に愛が重いとかいうなら自分の愛の重さをどうにかしろよ。


「っていうか……天音チャンも天音チャンでひどいけどね」

「?なにが」

「久遠のこと、無神経に傷つけてる」

「でもそれは———」

「妬かせるとかそういうのじゃなくて」

え……?

妬かせる以外に天音が久遠を傷つける理由があるか?


っていうか……俺久遠のことで辛いはずなのに、天音と久遠が結ばれないって思うと安心して、喜びという感情が出てきているようにすら感じられた。




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