今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
「まぁお前は知らなくてい——」
「天使だ」
そうだ思い出した。
天使。
天音が、中学の時に言ってた天使。
「……あー……わかっちゃった感じ?」
「なんだよ詳しく吐け」
「……ジツハ〜天音チャンと久遠クンは幼なじみなんですねぇ」
幼なじみ、か。
「ちっちゃい頃に母親同士が仲良かったふたりは無理矢理、強制的に遊ばされてました」
無理矢理、強制的にって言いすぎだろ。
「そして〜ある日、天音ちゃんの優しさに気づいた久遠クンは〜天音ちゃんが大好きになり〜みたいなね」
「は、そこで終わりかよ」
「詳しく知らないんだよ」
チッ使えねぇな。
コイツ、陽奈のことでしか———
「おいお前いまコイツ、陽奈のことでしか情報ねぇって言おうとしたなてめぇ殺すぞ」
「……は?怖」
やっぱコイツ腹黒じゃねぇかよ。
ってかなんで俺が思ったことわかったんだよ。
あ、陽奈に関係してることだからか。
……って、納得してんじゃねぇよ俺!!
「……んで、なんで久遠なんかが天使なんだよ」
「いや、お前もイケメンだからわかるでしょ?俺らイケメンは、ちっちゃい頃はそりゃもう可愛いショタじゃん」
「自分で言うなよ」
自意識高すぎんだろ。