今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
「天音……!!大丈夫か……!?」

「う、うんっ……!!ご、ごめんね、心配かけちゃって……」

「……そんなことはいい。無事なら……」

蘭くん……。

久遠くんだけでない蘭くんの優しさに、ジーンと目元が熱くなった。


「なにしにきたんだよゴミ」

「黙れカス」

久遠くんは蘭くんをゴミ呼ばわり、蘭くんは久遠くんをカス呼ばわりだ。


「ふ、ふたりとも、やめなよっ……!!
「わ、悪口言わないで……?喧嘩したって、いいことないよ!」

私、ふたりには仲良くしていて欲しいんだっ……!!

ふたりは大好きなお友達なんだから……。

「天音がそう言うなら」


そう言いながら、なにか裏がありそうににこにこと笑う久遠くん。

ふふっ……でも、なんだか可愛いな。

久遠くんのにこってした笑み、なんだか幼くて可愛くて……。

「……あ、それでだなカス」

「なんだよ。ゴミ……」

ボソッと久遠くんのゴミという声が聞こえた気がしたが、空耳ということにした。


「あー……お前の父親がお前を呼んでたぞ」

「っ。父さんが?」

「ああ」

久遠くんのお父さんが……?

ん……?そういえば久遠くんって、理事長の息子……とかなんとかって噂聞いたことあるかもっ……。


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