今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
「……ダル……で、お前も戻れ」

久遠くんは不機嫌そうに蘭くんを追い出そうとする。

「はぁ?んなことすんわけねぇだろ」

「……時期上杉家当主の俺に逆らうのか」

「黙れよ」

「俺の命令が聞けないなら切るぞ、お前の家との契約」

蘭くんの家との契約……?

「お前にんなことできんのかよ」

「はっ、つまんねぇことほざきやがって」

ふ、ふたりとも、怖い……。

「俺はこの高校を退学したって、一生働かずに生きていける金ぐらいあんだぜ?もちろん、自分で働いた分で」

「は?お前働いてんのかよ」

「当たり前だろ。」

ええっ……久遠くんって、働いてたんだっ……。

すごいな……。

通りで、私が見るに学校で授業中寝てるわけだっ……。

「まぁんなことはどうでもいい、とにかくお前だけ出てけ」

「……仕方がないな。」

「?え……!久遠くんちょっ……!?」

久遠くんは急に私にかかっていた毛布を奪い、私をお姫様抱っこした。

「お前が素直にここから出ていかないならコイツを連れて行くまでだ」

「ええっ……!?なに言ってっ……!!」

「ざけんなよ……」

すると久遠くんは私を抱いたまま、保健室を出て行く。

「久遠くん……!?お、降ろしてっ……!!急に、なんなのっ……?」

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