今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
「すまないがお前をアイツとふたりきりになるのはだめだと身体が判断した。」

「ええっ……く、久遠くんって、蘭くんのこと嫌いなの?」

「ああ」

そ、即答ですかっ……。

「なんで……?蘭くんは、いい人だよっ……?」

「……じゃあ俺は悪い人か」

「え!ち、ちがうよっ……!なんでそうなるのぉっ……!?」

久遠くんは、とってもいい人……!!!!

そう思いながらも私は隙を見てバタバタと暴れる。

「……暴れるな」

「そんな言い方じゃなやめないもん!!」

久遠くんがもうちょっと優しくしてくれたら大人しくするなんてことはないけど。

「……暴れないで」

「っ!」

思いもしなかった可愛さに胸がきゅんっと打たれた。

思わずその衝撃で私は大人しくなる。

「ううっ……可愛いの……ずるい……」

私のそんな言葉なんて久遠くんには届かず、久遠くんは無言でどこかへと歩いて行く。



数分して、どこかの教室に着いた。

「く、久遠くん……ここ、どこ……!?」

ガチャッと至って普通の扉を開けた先には……。


まるで、どこかのお城のお部屋ですか?

と思うほどの綺麗な部屋があった。

「こ、ここはっ……」

「俺の部屋だ」

「ええっ……嘘でしょっ……!?」

こ、こんな……色々なものが本物の金でできてそうな部屋っ……。


< 73 / 257 >

この作品をシェア

pagetop