今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。

ううっ……久遠くんが、誰かと結婚するのはやだっ……でも……でもっ……。

「……わ、わかりました……!!私、恋人役します……!!」

「ちょ、天音……いいのか」

「う、うん……!!」

なんだかモヤモヤするけれど、久遠くんが誰かと結婚しちゃうよりはまだ全然いいっ……!!!

私の結論はそうなった。


「ふふっ、感謝するよ。じゃあ、いまから行こうか」

「い、いまからですかっ……!?」


制服とか、寝てたせいでしわしわになっちゃったしっ……!!

「ええ。あ、でも屋敷で着替えはあげるから、とりあえずきてくれ。校門にリムジンを用意させてる。」


りりりり、リムジンっ……!?

「久遠、天音ちゃんを連れて行きなさい」

「わかった」

お、お金持ちって、怖い……。


「……ありがとうな」

「?、う、うんっ……!!」

「——これでお前と婚約できる」


?あ、あれ……?久遠くんなにか言った……?

気のせいかな。


それからボチボチと歩きながら、正門に向かう。


そして……。

「な、に……これ……」


傷一つない、真っ白な大きな車。

ガチャンとドアが自動に開き、リムジンに入っていく。

内装は……。

全てにお金がか勝手そうなくらい綺麗で、白色に統一されている。

「天音が、黒より白の方が好きそうだから買ったんだ」

「んぇっ?」

思わず変な声が出た。

んんっ……?いま、私が白好きそうだからって……。

「……俺、小遣いが月500万で……いらないんだけど、溜まりすぎたから買ったんだ」

「あ、あはっ……は……」


私の家は結構裕福な方だと思うけれど、月のお小遣いはきっと高い方で5000円だ。

それを……500万……?


「久遠くんって……誕生日に別荘買っちゃう人……?」

「?別荘なんて誕生日じゃなくても買うだろ」

「お〜……」

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