今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。

まさかとは思うけど、俺がこれから考えてる天音に恋人役をやらせてさりげなく婚約……みたいな……。


「実はね……!私は、あーまのちゃん!監禁させられたくなければ、俺と付き合いなさーいって言われて、付き合わされて、親に紹介したいって、20歳の頃に言われて、おうちに言ったらそのまま婚姻届を書かされちゃったの!!」

あー……。

なんだろう、すっごく似てる気がする。


「そ、そうなんですね……」


天乃さんがこんなんで騙されたなら……天音も余裕だろうな。


「あっ……今日はわざわざお時間までいただき、ありがとうございました」

「えっ……か、帰っちゃうの!?」

「はい」

「天音ちゃんに会ってあげて!!」

「それは……」


俺の態度的にも、会うのは難しい……。


……っていうか。


「尊さんにいじめられるのが怖いんですか?」

「っ!」


どうやら図星らしい。

「そ、そんなことは……ある、けど……」

「あーまのちゃんっ、なぁにやってるの」


どす黒いオーラを放ちながら部屋から出てきた尊さん。

「ひっ……!わ、私、家出しますっ……!!」

「……そんなことするんだ」

「えっ……、え?」

「じゃあ、今日は監禁の日だーね」


そう言った尊さんは、天乃さんの両手を片手で拘束し、なにやら地下らしきところへ行こうとしてる。


あー……天音と将来住む家は、こういう構造もいいな。

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