今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
「じゃあな久遠」
「ありがとうございました」
早く帰って、屋敷の設計図を描き直さないと。
そう思い天音の家を出て、外で待たせている車に乗った。
次の日。
久しぶりに父親が姿を表したので、協力を仰ぐために、父さんの部屋にやってきた、の、だが……。
「ふふっ、日翔ちゃんかわいーね」
「もう、私を見るんじゃなくて久遠くんを見て!!」
なんだかイチャついてる様子。
どうでもよくて、部屋のドアを勢いよく開ける。
「げっ……!?久遠くん!?」
「……タイミングが悪いな」
「……嘘だろ」
なんで俺のアルバムなんか見てんだよ。
「なにやってんだよ」
「い、いやぁ〜今日は久しぶりに永遠さんが家にいるからと思って」
あーだる……。
俺は小さい頃の自分が嫌いだった。
性格も見た目も、全てが嫌いだ。
「……で、要件はなんだ?」
「……実は、天乃さんと尊さんから契約書にサインしてもらうことに成功して、父さんに頼みたいことがある」
「……僕の可愛い日翔……。ここでいい子に待っててね」
「け、ケーキ食べてきまーす……」
父さんは母さんの頭を撫でるが、母さんは嫌な予感がするのかこの場を立ち去ろうとした。
が、父さんにガッシリと手を握られて、大人しくソファに座った。
……なんだか父さんも尊さんも似てんな……。
それに母さんのも天乃さんも似てる気がするし、なんとなく仲がいい理由がわかった気がする。