今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
いまこの場にずっといたら、久遠くんがお怒りで私も理人くんも丸ごと倒されちゃいそうだ……。


「ふふっ、久遠おはよう」

「黙れ潰すぞ失せろ」

っ……ぅ……怖い……。

久遠くんは目だけでいま理人くんを殺められそうなくらいな殺気を放っている。


「うゎぁ、怖いなぁ〜俺は天使さまを見にきただけなのに」

「……俺と天音は婚約済みだこれ以上手出すんだったらお前の家ごと潰すかんな」


い、家ごと……!?

そ、そっか……久遠くんの家は世界トップレベルの御曹司様だもんね……。


「うわ、それはやめて?でも天音ちゃんとは仲良くしたいから」

「ふざけんな。ほら天音、行くぞ」

「えっ……?行くって、どこに……?」

「俺の教室だ」

……?久遠くんの教室って、き、昨日の、豪華なお部屋……!?


「や、やだよ!ちゃ、ちゃんと教室で授業受けないと、着いていけなくな——」

「天音も俺も、高3までの勉強は終わってんだろ?」

「うっ、なぜそれをっ……」


一応高校3年生の基礎はもう完璧にできるつもり、だけど……。

「……じゃあいいよな」

「や、やです……」

「……旦那様に逆らうの?」

「だ、旦那様って……!?」


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