今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
「私のっ……旦那しゃまはっ……久遠くん、だから……」

とっさに変に恥ずかしい言葉が口から飛び出た。

そして次の瞬間、私は後ろから口元を抑えられて、理人くんとキスをすることは免れた。


「はわぁっ……久遠くんー!!……」

背後にいたのは久遠くんで、思わず久遠くんにぎゅっと抱きついた。

「うぇえんっ……!怖かったよぉ……!!」

「……よしよし、もう大丈夫だよ」

久遠くんはひょいと私を持ち上げて、赤ちゃんをあやすように抱っこをする。


私、怖かったっ……。

時が止まっているかと思って、初めてキスされるのは、久遠くんがよくて……。

わ、私の旦那様とか言っちゃったけどっ……。


やっぱり、私には久遠くん、しか、いないんだ……。

「っぅっ……久遠くん……あぃが……とう……」

「……別に」

「えへへっ……久遠くんにぎゅってされると、嬉しいんだぁ……」


なんだか頭が熱いなぁ……。

ドキドキしてるからかな……?

「……天音?」

「ふへへっ……好き……大好き……」

めちゃくちゃ好きだよぉ……久遠くんっ……。

私は久遠くんの首に手を回して、ぎゅっとくっついた。

「……ヤバ……」

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