HONEYHOLIC(2)運命ウエディング~身代わり見合いの代償は溺愛~
伊集院さんが元々ドバイから帰国したのは今年の十月に行われる衆院議員選挙に出馬する為だった。

不景気で経営に喘いでいた『帝和銀行』の頭取に再び就いたばかりだと訊いていたが…

「俺はまだ…貴方の後を継ぐとは言ってませんよ」

「私と養子縁組をし、伊集院の名前を手に入れておいて…まだ、抗うのか?純也」
「貴方には可愛い後継者がいるでしょ?」

「私の後継?まさか・・・!?」

「紡君ですよ」

「紡はまだ三歳だぞ…何を言っているんだ?三歳の子供に頭取が務まるワケないだろ?」

「紡君は三歳ですか…可愛い盛りですね…」
私は三人にコーヒーを出した。
「・・・紡は飛行機が大好きで…陽那と三人で成田空港に行ったよ…」

「・・・俺の知らない間に復縁したのか?槇村先生とはどうなったの?」

「陽那は槇村先輩の部屋のハウスキーパーの仕事をしていただけだ…二人は別に恋仲ではなかった」

「そっか…それは安心だね…敦司さん」
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