HONEYHOLIC（２）運命ウエディング～身代わり見合いの代償は溺愛～

私は心の中で文句を言いながら、彼にコーヒーを淹れた。

「どうぞ…コーヒーです」

彼は応接ソファに腰を下ろして、長い脚を組んでタブレットで動画を観ていた。

社長の観ているタブレットの画面の映像はテレビでも観た事があるわが社のゲームアプリのCMだった。

「これって…テレビで放送中のわが社が手掛けたゲームアプリのCMですよね」

私は社長の隣で画面を覗き見た。

「そうだよ…今回のCMの出来はなかなかいいぞ」

「そうですね…今が旬のアイドルグループ『スターファイブ』を起用していますし」

私の推しがいるアイドルグループ『スターファイブ』

「まぁな」

社長は満足げな表情で私の淹れたコーヒーを啜った。

「コーヒーの味は合格だな…薄すぎず、熱すぎず、俺好みの味だ。君もそこに立ってないで…座ればいい」