HONEYHOLIC(2)運命ウエディング~身代わり見合いの代償は溺愛~
エレベーターに乗ると彼が二十階のボタンを押した。

「えっ?会議は『メディアパークス』のフロアでするんですか?」

「会議は三十階フロアだ。君の上司である香川部長に俺と君の結婚を伝えるだけだ」

「突然、言われても…部長も困ると思いますが…」


「君の異動の話もあるしな…」

社長は私と話をしながら携帯で誰かに電話を掛けた。

「あ…奈有か…俺は会議に少し遅れる。先に会議を始めておいてくれ」

社長はそう言って電話を切った。

「会議で私を紹介するつもりはなかったんですね…」

「会議はあくまで仕事…プライベートの話は皆無だ。あのまま…父さんと二人っきりだと君も緊張すると思って連れ出しただけだ」

「ありがとうございます」

社長は私を気遣ってくれていたんだ・・・

やはり、社長は大人だ。

ーーー十歳の年の差、悪くない。


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