HONEYHOLIC(2)運命ウエディング~身代わり見合いの代償は溺愛~
座り心地の良いシートには白い布がかかっていた。
足許のスペースは広くゆったりしていた。
彼の長い脚を組んで、シートに背中を預けてリラックスした雰囲気で乗っていた。

「ホテルに行って何をするんですか?」

「…見合い場所だったフレンチでディナーコースを食べて…その後は知人に君を紹介する…」

「知人?」

「俺が昔から懇意にしている友人だ…」

「へぇー…」

「俺は少し寝るよ…雪姫。ホテルに着いたら起こしてくれ」

「えっ?あ・・・はい」

彼はそう言うと本当に眠ってしまった。

「社長もお疲れですから…このまま眠らせてあげてください。小泉さん」
車が赤信号で停止した。その折に思い切って逢沢さんに話し掛けてみた。
「あ、はい。運転も秘書の仕事ですよね」

免許は学生時代に取得したが、ほとんど乗らずペーパードライバー状態。
都心の道路を運転する自信がなかった。

「そうですね。でも、運転は俺の仕事になると思いますよ。貴方には社長の隣で事務的な仕事をさせるようにと会長からご命令です」

「内勤の仕事ですか」
「そうですね。頑張って下さい」

「はい、頑張ります」





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