HONEYHOLIC(2)運命ウエディング~身代わり見合いの代償は溺愛~
「逢沢お前が付いていながら…」

「申し訳ありません…」

「逢沢さんに八つ当たりしなくてもいいと思いますけど」

「俺は別に…八つ当たりなどしていない」

達生さんはそう吐き捨てて、会議資料をデスクに置いて、チェアに腰を下ろした。

「俺にもコーヒーを淹れてくれ、雪姫」

「承知しました」

私は彼と逢沢さんの元から立ち去り、給湯室に向かった。

会議に行くまでは上機嫌だったのに。
会議で何かあったんだろうか?

コーヒーを持っていくと逢沢さんの姿が消えていた。

「雪姫…引っ越しの準備は済んでいるか?」

「あ、はい…」

「今日は昼食後、早退して…逢沢と共に俺の住む南青山のマンションに向かえっ」

「え、あ…はい」

「あ…これを君に預ける」

彼は引き出しを開けて、クリアケースに入った婚姻届を渡した。

「これは達生さんが持っていた方が…」

「紛失したら困る。だから、君に預ける」

「分かりました」

私が大事な二人の婚姻届を預かる羽目になった。


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