HONEYHOLIC(2)運命ウエディング~身代わり見合いの代償は溺愛~
「どうぞ…」

「ありがとうございます。お義母さん」

お義母さんは、全国に海外に和洋折衷の飲食チェーン店を展開する運営会社『キングダイニング』の令嬢。
会社経営が傾いた時、お義父さんと政略結婚をして、経営難を免れたと達生さんから訊いた。

お義母さん自身も有名な料理研究家。

「このスコーンは二人の為に焼いたのよ…食べてみて」
「お義母さんの手作りですか…食べるの楽しみです」

「俺の好きなチョコチップ入りのスコーンだ…いただきます」

「達生さんの大好きなスコーンか…私もお義母さんに教わって作らないと」

「じゃ後でレシピあげるわ」

「はい」

「でも、あの時から二人は結ばれる運命だったのね…」

「!?」

スコーンを食べているとお義母さんがそう呟いた。

「母さん…雪姫は記憶がないんだ…変な事を言わないでくれ」

「ゴメンなさい…あ…私はパーティの準備があるし…行くわ。二人でくつろいでて」

お義母さんは慌てて出て行った。

「全く」

達生さんは盛大な溜息を吐き、二つ目のスコーンを頬張った。

< 93 / 155 >

この作品をシェア

pagetop