最強守護騎士の過保護が止まりません!~転生令嬢、溺愛ルートにまっしぐら!?~
 苦し紛れの言い訳だったが、アルヴィンはそれを聞いて柔らかく微笑んだ。
 美少年の微笑みはあまりにも威力が強くて、美少女セシリアの中にいる、平凡な日本人である上嶋蘭が衝撃を受ける。
(神々しい……。こんな美少年が虐待されているなんて)
 よく見れば彼は痛々しいほど痩せている。
 こんなに美しい少年を虐待するなんて、許されることではない。セシリアは思わずアルヴィンの手を、両手でしっかりと握りしめる。
「だから今度はわたしが、あなたを助けてあげる」
「セシリア?」
「痛いこととか、つらいことなんか我慢しなくてもいいの。だから、わたしと一緒に行こう?」
 見た目は同い年くらいだが、こっちの中身は二十九歳だ。虐待されている子供を見つけたら、保護しなければならない。
 だが、アルヴィンは首を横に振った。
「俺と一緒にいると、お前も危険かもしれない。どこかのお嬢様なのだろう? 早く戻ったほうがいい」
「危険って……。誰かに追われているの?」
 思わず彼の手を握りしめたまま、周囲を見渡した。
「ここにはいない。大丈夫だ」
 そんなセシリアに、アルヴィンは優しく言い聞かせるように言った。
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