最強守護騎士の過保護が止まりません!~転生令嬢、溺愛ルートにまっしぐら!?~
 急に胸の鼓動が早くなった気がして、慌てて笑みを浮かべる。
「設定だから?」
「そういうことだ」
 これだけの美形と寄り添って歩いていると、嫌でも注目される。
(でも、昔ならいざ知らず、今はわたしだってそれなりの美少女。何とか釣り合いは取れているはず)
 うらやむような声は聞こえてきても、貶めるような言葉はないのがその証拠だ。
「セシリア、覚えているか」
 アルヴィンは立ち止まり、そんなことを言った。
「え?」
「ここで、俺たちは初めて出逢った」
「あ……」
 十歳の頃の記憶が蘇って、セシリアは頷く。
「ええ、もちろんよ。アルヴィンはここに座り込んでいたわ」
「誰もが遠巻きに眺めていた俺に、まっすぐに近寄ってきたのには驚いた」
「あのとき、とても寂しかったから。仲間だと思ったのよ」
 前世を思い出す前の、セシリアの記憶。
 孤独で寂しくて、自分なんかいらない存在だと泣いていた。
 周囲を見渡してみると、あのときと同じように、町には幸せな家族が溢れていた。
 でも、もう孤独は感じない。
 だって傍には、アルヴィンがいてくれる。
「わたしはもう、寂しくないわ」
「ああ、俺もだ」
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