最強守護騎士の過保護が止まりません!~転生令嬢、溺愛ルートにまっしぐら!?~
 ひどく痩せていて、それでも助けを求めようともせず、むしろセシリアを守ろうとしてくれた。
「生まれる前のことよ? それなのに、どうして……」
 セシリアは守護魔法で母を守ったらしいが、そんな記憶はない。
 生まれる前のことだ。当然である。
 アルヴィンが自分の母を守れなかったとしても、それは本当に彼自身が背負うべき罪なのか。
 そのために生まれ落ちた瞬間から実の父に激しく憎まれていたなんて、許されることなのか。 
「それからどうやって、この国に?」
「母の妹である叔母が、俺を城から助け出してくれた。叔母は、姉が命懸けで産んだ子供を、父に殺されたくないと言っていた。その頃には父はもう、正気ではなかったのかもしれない」
 失ったら正気を保てないほど、誰かを愛する。
 愛は幸福をもたらすものだと言われているが、それほどまで誰かを愛することは、本当に幸せなのだろうか。
 もしかしたら、自分の身にも起こったかもしれないできごとだ。
 父も、母を愛している。
 その愛は恐ろしいほどに深く、たとえセシリアが「護り子」でも、そのために母の体調が優れなくなったことを、許せないと思うほどに。
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