最強守護騎士の過保護が止まりません!~転生令嬢、溺愛ルートにまっしぐら!?~
 でも、勇気を振り絞るどころか、かっとして。ついやってしまったという方が正しい。
「事実ではなくとも、そう見える余地があれば充分だ」
「まあ、あの場には四人しかいなかったからね。うん、これから気を付ければ大丈夫かな?」
 そういうことにしよう。
 ふたりでそう結論を出して、セシリアは言われた通りにアルヴィンの背後に隠れて、学園に向かう。
 もう二度と、攻略対象とは関わらない。
 そう決意したのに、なぜか校舎の前に立ち塞がる、ひとりの男の姿。
 思わず足を止め、深く溜息をつく。
「あれは……」
「脳筋の方だな」
 アルヴィンもうんざりした様子で、そう言った。
 セシリアが望んでいるのは、平穏な生活だった。
 目立たないように、攻略対象とヒロインに近寄らないように、ただ静かに過ごしたい。
 それなのに昨日に続いて今日もまた、イベント勃発なのか。
(ゲームだったらイベントが起こらないとつまらないし、待ち望んでいたけど……。でも、現実では日常は平穏が一番だわ)
 しかも今日は、たくさんの生徒が周囲にいる。今日こそは、何とか目立たないようにしたい。
「セシリア」
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