最強守護騎士の過保護が止まりません!~転生令嬢、溺愛ルートにまっしぐら!?~
 その規則を破った場合には、国家反逆罪に問われる場合もある。
 それなのに、王太子に痛いほどの忠誠を捧げていたあのダニーが、それを破っているなんて。
(どうしてこんなことに……)
 ダニーは何かを喚きながら、とうとう剣を抜いた。
 周囲の生徒たちから悲鳴が上がる。
 こんなふうに大勢の前で剣を振り回してしまったら、もう王太子の傍にいられないどころか、学園さえも追放されてしまうだろう。
「セシリア、大丈夫だ」
 動揺しているセシリアとは裏腹に、アルヴィンは冷静だった。
 彼が軽く手を翳すと、ダニーは急に力が抜けたように、地面に跪いた。その手から剣が転がり落ちる。
「なっ……。身体が……」
 魔法によって自由を奪われたダニーは、殺意を込めた視線をアルヴィンに向ける。
「……き」
 何か叫ぼうとしたらしいが、次の瞬間には意識も奪われて、完全に沈黙する。
「アルヴィン」
 セシリアはアルヴィンの背に庇われたまま、小さく彼の名を呼ぶ。
 ダニーが剣を持って追いかけてきたとき、多少は小競り合いになるかもしれないと覚悟していた。だが実際には、アルヴィンはその場から動いてもいない。
< 156 / 318 >

この作品をシェア

pagetop