最強守護騎士の過保護が止まりません!~転生令嬢、溺愛ルートにまっしぐら!?~
 自分はゲームの内容を知っているから、魔族の存在を知ることができた。でもそれを、どうやって伝えればいいのだろう。
 黒い瘴気も魔族の存在も、ゲームで得た知識だ。きちんと示せるだけの、根拠がない。
「大丈夫よ。ただ昨日から色々なことがあって、少し疲れただけ」
 だから、そう言って笑うことしかできなかった。
 アルヴィンに嘘を言ってしまったのは、初めてのことかもしれない。
 でもセシリアが不安に思い、案じているのはアルヴィンのことだ。
 それを上手く本人に伝える術がないことに焦燥を覚えながらも、心配させないように笑うしかなかった。
 
 学園は、一週間閉鎖されることになった。
 事件当初の状況が知りたいと、アルヴィンは何度も学園に呼び出されていた。セシリアに声が掛からなかったのは、襲撃のショックで寝込んでいるとアルヴィンが言ったからだ。
 だからこの日も、セシリアは部屋で魔法書を読んでいた。
 学園はまだ始まっていないが、もう学生であることには変わりはない。しっかりと勉強をして、授業の再開に備えなければならない。
 ふと、誰かが部屋に近づいてくる気配がして、顔を上げた。
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