最強守護騎士の過保護が止まりません!~転生令嬢、溺愛ルートにまっしぐら!?~
 王太子を待たせてしまうことになるが、急に訪れた向こうにも非がある。先触れくらい出せなかったのだろうか。
 ようやく正装に着替え、アレクを待たせている応接間に移動する。
 そこには、ソファーに腰を下ろしてどこかぼんやりとしているアレクと、王太子とふたりきりになってしまい、どうしたらいいかわからずに困惑している侍女の姿があった。
「お待たせしてしまい、申し訳ございません」
「いや、私の方こそ突然訪れてしまい、すまなかった」
 アレクはそう謝罪したあと、思い詰めたような顔をして俯く。
 話をこちらから切り出すわけにもいかず、セシリアは静かに待つことしかできなかった。
「ダニーのことも、すまなかった。あれは、私の責任だ」
 やがてアレクは、声を振り絞ってそう告げた。
「あの後、しばらく傍を離れるように、ふたりに告げたのだ。私を思ってくれるのは嬉しいが、自分よりも高位の令嬢に敵意を剥き出しにするなど、許されることではない。互いに少し距離を置けば、冷静になれると思ったからだ」
「……」
 セシリアは溜息をつきそうになり、それを押し殺す。
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