最強守護騎士の過保護が止まりません!~転生令嬢、溺愛ルートにまっしぐら!?~
 セシリアはそう結論を出すと、控え室に急いだ。
 警備兵から、今日の儀式に使うはずだった魔石がなくなったと連絡が来たのは、控え室に戻ったすぐ後のことだった。
 ありえないことだ。
 ここは王城で、儀式に使う魔石は厳重に保管されていたはずだ。
 警備兵も配置されていた。それなのに、魔石だけが忽然となくなるなんて考えられない。
 しかも魔石が保管されていたのは、先ほど兄の姿を見た場所にとても近い。
(もしかしたらお兄様が? でもお兄様に、警備兵に咎められずに魔石を盗み出すなんて、不可能だわ)
 兄だけではない。他の誰にも不可能だろう。
 ただちに関係者が集められ、再度警備兵の事情聴取が行われた。
 そのとき、黒い瘴気のようなものが部屋を立ち込めていたと言う者がいて、セシリアは両手を強く握りしめる。
(まさか、これにも魔族が関わっているの?)
 ダニーの事件のときよりも大きな不安が、胸に沸き起こる。
 ここはもう、ゲームとは全く違う世界になってしまっている。どう動くのが正解なのか、まったくわからない。
「これでは儀式が……。どうしたらいいのでしょうか」
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