最強守護騎士の過保護が止まりません!~転生令嬢、溺愛ルートにまっしぐら!?~

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「アレク様は……。魔族の力によって歪められてしまったのね」
 ララリの悲しげな言葉に、フィンも視線をそらした。
 ふたりとも、アレクが自分から魔族の力を欲したとはまったく思っていないようだ。
 だが、セシリアには少し疑問が残る。
 この魔力至上主義の国において、妹よりも魔力の低いのに、王太子という立場。
 そして国王陛下とセシリアの父の、昔から続く長い因縁。それらを考えても、きっと彼は誰よりも強い魔力さえあればと思っていたはずだ。
 その苦しみは、ゲームを通してこの世界を深く知っていたセシリアには、よく理解できる。
 だからこそ悲しい話だが、アレクはただの被害者だと思うことはできない。
 そう思ったセシリアは、ちらりと背後にいるアルヴィンに視線を向けた。
 彼も同じ考えのようで、悲しげにアレクのことを話すララリとフィンの様子を、静かな瞳で見つめていた。
「フィン様は、どうやってその状態から抜け出すことができたのですか?」
 アレクのことを思い、憂いを帯びた表情をしていたララリが、ふと思いついたように問いかけた。
 たしかに今のフィンは、最初に出会ったときのように好戦的ではない。
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