最強守護騎士の過保護が止まりません!~転生令嬢、溺愛ルートにまっしぐら!?~
「お兄様は昔から、魔力至上主義のこの国の状況に、危機感を抱いていた。いずれ、魔力に頼れない日が来る。そのために、他の手段を探さなければならないと、ずっと考えていたようです」
 そう語るミルファーの表情から、かつての傲慢さは消えている。
 浄化も使える神官の治癒魔法を受けて、魔の影響から離脱しつつあるのかもしれない。
「でも、そんなことを言っていてもお兄様の魔力は低かったから、私は馬鹿にしていました。それが、自分にないものを貶めて、優位を保とうとしているようにしか思えなかったのです」
 アレクは、本気でこの国の将来を憂いていたのかもしれない。
 でもミルファーはその魔力の高さから、兄であり王太子でもあるアレクを軽視し、蔑んでいた。
 彼に賛同していたのは、グリーにフィン、そしてセシリアの兄のユージンなど、魔力の高さを期待されながらも、それほどの魔力を得られなかった者たちだった。
 そのこともあり、彼らは自分たちの能力のなさを誤魔化すために、そんなきれいごとを言って誤魔化しているのだと思われるようになっていく。
 掲げた理想を支えるだけの力がないことを、アレクはいつも嘆いていた。
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