最強守護騎士の過保護が止まりません!~転生令嬢、溺愛ルートにまっしぐら!?~
「今、こうしていられるのは、すべてセシリアのお陰だ。言葉に尽くせないほど、感謝している」
 アルヴィンはそう言うと、指を絡ませていたセシリアの髪に、そっと唇を押し当てる。
「……っ」
 そのしぐさがあまりにも優雅で、目が合った瞬間に微笑んだその笑顔がとても綺麗で、思わず涙が零れそうになる。
 彼を守れてよかった。心からそう思う。
 あんなにも傷ついていた少年は今、こんなに綺麗な笑顔を浮かべられるようになったのだ。
「だから今度は俺に、セシリアを守らせてくれ。さすがに守られたままでは、男として情けない」
 たしかにアルヴィンは、もうあの頃の儚げな美少年ではない。
 背も高くなり、今となっては騎士として剣の腕もかなりのものだと聞いている。さらに魔法まで使えるのだから、セシリアが心配するようなことはないのかもしれない。
 それにセシリアがどんなに言葉を尽くしても、彼の心を変えるのは容易ではない。
 それは五年前から知っている。
「無理は絶対にしないで。あなたが傷ついた姿だけは、絶対に見たくないの」
「わかった。この身体も心も、セシリアが守ってくれたものだ。粗末にするようなことはしない」
 そう約束してくれたことに、安堵する。
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