最強守護騎士の過保護が止まりません!~転生令嬢、溺愛ルートにまっしぐら!?~
 混乱した思考のまま、両手を広げて眺めてみる。
 視界に映るのは、子供の小さな手のひら。
 でも蘇った記憶は、今とはまったく違う姿で生きてきた人生。
 今の容姿とはかけ離れた、黒髪の女性の姿が浮かぶ。
(ええと、わたしの名前は……)
 上嶋蘭。
 享年二十九歳。
 車で出勤中に、多重事故に巻き込まれて死んでしまったらしい。
 まだ人生も半ばで、恋人もいないままだったのは残念だが、今さら悔やんでも仕方がないことだ。
 だってこれは、前世の記憶なのだから。
(異世界転生って、本当にあるのね)
 思わず自分の美しい金色の巻き毛や、幼いながらも白くて美しい手などをまじまじと眺めていた。
(しかもこの容姿。今のわたしって、とんでもなく美少女ね)
 さらに両親の顔や住んでいる屋敷などを思い出してみると、間違いなく高位の貴族だ。
(お父様はブランジーニ公爵……。公爵家? 美少女で公爵令嬢だなんて、もしかして今世は勝ち組?)
 でも思い出してみると、ここはとても不思議な世界だった。
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